入場無料
雪にまつわるエトセトラ
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SCARTS × SIAFラボ 冬の展覧会 2023雪にまつわるエトセトラ

会期2023年2月4日(土)~14日(火)11:00~19:00 休館日:2月8日(水)
12日(日)はSCARTSコートのみ14時まで
会場SCARTSコート、SCARTSモールA/B/C(札幌市民交流プラザ1、2F)

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開場時間や入場時の受付方法等が変更となる場合があります。来館前に最新情報をご確認ください。
ご来場の際はマスクの着用、手指消毒など、感染拡大防止にご協力をお願いいたします。

展覧会概要

札幌文化芸術交流センター SCARTSと、札幌国際芸術祭(略称:SIAF)のもとで実験的な活動を行うSIAFラボは、2018年より共同で、メディアアートを通じて冬の新たな魅力や創造性を発見しようとする継続的な取り組みを行っています。

未知の物事を自分たちの手で調べ、新たな発見や発想を作り出そうとするR&D(研究開発)と、札幌の地域性をベースとしたこの取り組みは、試行錯誤と発見を積み重ねることで、北国の冬を、いつもと違った視点で捉え直し、より活動的で彩り豊かなものにします。

5回目となる冬の展覧会では、札幌市で稼働する除雪車や雪堆積場のデータ、吹雪という過酷な自然現象を題材として、体験・体感型のインスタレーションを展示します。また、現代音楽家のデーヴィッド・チュードアらが構想した「孤島をまるごと楽器化する」という未完の計画を北海道で実現しようとするS.I.D.E.プロジェクトの活動で生まれた活動記録を紹介する展示、NoMapsとのコラボレーションによる北国の企業による先進的な研究開発の事例を紹介します。

また、北海道大学 CoSTEPと連携する中高生向けのワークショップやライブパフォーマンスを開催するなど、「雪にまつわるエトセトラ」がSCARTSの各会場で展開します。

雪山
雪堆積場

企画・制作:SCARTS × SIAFラボ

会期中のプログラム

ギャラリーツアー

参加無料事前予約不要

参加しよう!企画・制作メンバーが展覧会を解説します。

  • 集合場所:SCARTSモールA・B(札幌市民交流プラザ1F)

アート&サイエンスワークショップ

参加無料事前予約制

体験しよう!SCARTSとCoSTEPが共同で行う2日間のワークショップ。フィールドレコーディングを通して自分の周りの世界を音で感じてみよう。

  • 講師:上村洋一(アーティスト)
  • 対象:13歳~18歳/2日間参加可能な方
  • 定員:先着15名
  • 会場:SCARTSスタジオ(札幌市民交流プラザ 2F)
  • 後援:札幌市教育委員会
  • 申込フォームを開く
  • 申込締切:2023年2月3日 (金)
上村洋一
上村洋一(アーティスト)

視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り、フィールドレコーディングによる環境音と、ドローイング、テキスト、光など視覚的な要素と組み合わせたサウンド・インスタレーションや、絵画作品、パフォーマンス、電子音響作品などを制作し国内外で発表している。フィールドレコーディングを「瞑想的な狩猟」と名付け、その行為を通して、人間と自然との内的で精神的な繋がりを探求し、近年は、地球温暖化で減少を続けている北海道知床のオホーツク海の流氷のリサーチや、フィンランドの太古氷河の痕跡、アイスランドの氷河などのリサーチを元に制作をしている。
http://www.yoichikamimura.com
https://www.instagram.com/camyyu/

ライブパフォーマンス

参加無料事前予約制

体感しよう!フィールドレコーディングを駆使して楽曲を作るアーティストによる音楽イベント。

  • 出演者:上村洋一(アーティスト)、YOSI HORIKAWA(サウンド・クリエイター)、Kuniyuki Takahashi(サウンド・デザイナー/プロデューサー/DJ)
  • 会場:SCARTSコート(展示会場内)
  • 定員:先着50名
  • 申込フォームを開く
  • 申込締切:2023年2月7日(火)
YOSI HORIKAWA
YOSI HORIKAWA

環境音や日常音などを録音・編集し楽曲を構築するサウンド・クリエイター。2012年のEP『Wandering』、2013年の初アルバム『Vapor』、2019年の2ndアルバム『Spaces』それぞれTime Out、The Japan Times、The Guardian等、多数媒体のBest Album of the yearに輝く。Glastonbury Festival, Sónar Barcelona, Dimensions Festival, Ozora Festival, Gilles Petersonが主宰するWorldwide Festivalを始めとする多数の世界的大型フェスティバルや、イギリス発ライブストリーミングチャンネルBOILER ROOM London、ロサンゼルスの伝説的イベントLOW END THEORY等に出演。その他、日本科学未来館や商業施設などの空間音響デザインも手がける。
https://yosihorikawa.bandcamp.com/

Kuniyuki Takahashi
Kuniyuki Takahashi

札幌を拠点に活動し、国境を問わず常に独特の世界観を持ち、世界各国のプロデューサー、DJから高い評価を得ている。Joe Claussell 主宰[Natural Resource]から札幌のクラブをトリビュートした曲「Precious Hall」をリリース、4HeroのDegoの2000Blackのコンピ参加、Ananda Projectの名曲「Cascades of Colour」のリミックス・リリースや、Mule Musiqよりシングル「Earth Beats」をリリースし、各DJから圧倒的な支持を得て、現在まで数々のアルバムをリリースする。国内のアーティストでは、サカナクションの楽曲、奄美島唄の唄者“朝崎郁恵”や、アイヌの伝統歌を歌うグループ“マレウレウ”などのremixも手がける。ライブでは海外国内問わず精力的に行い、即興性とダンスミュージックを融合した独自のスタイルでliveを行う。

ピックアップブックス

休館日:2月8日(水)

もっと知ろう!展覧会に関連した書籍を展示します。

展示

雪の行方

SCARTSSCARTSとSIAFラボが、北国・札幌ならではのクリエイティビィティの発見を目指して継続的に取り組んでいる、雪や冬に関連したR&D(研究開発)を紹介します。
札幌市で稼働する除雪車のうち、GPSを搭載した約700台分の位置情報から昨年度の大雪を振り返る映像や、約7万枚の定点観測写真によって記録された雪堆積場に流れる時間を、自在にコントロールしながら観察する映像を展示します。また、雪がもたらす最も過酷な自然現象のひとつである「吹雪」と「レーザー光線」により「風」を目でとらえようと企てる新たな実験を紹介します。

雪の行方

除雪車のGPS測位データでみる大雪のまち

GPSによる除雪車の位置情報1
GPSによる除雪車の位置情報2
GPSによる除雪車の位置情報3
GPSによる除雪車の位置情報4

札幌市雪対策室では、除雪従事者による書類作成の負担軽減のため、除雪車へのGPSロガー搭載による車両運転日報の自動化を進めています。2018年から継続しているこのシリーズは、GPSによる除雪車の位置情報のログを可視化することで、冬の札幌の姿を浮かび上がらせよう、という実験から始まりました。除雪は札幌に欠かせない都市機能ですが、一般的に夜中に行われることもあり、私たちが除雪作業の状況を都市全体の規模で知ることはありません。
今回は、昨シーズンの大雪に見舞われた4つの期間にフォーカスし、約700台の除雪車の稼働数の変動などを観察します。よく観察すると、編隊を組んだ除雪車が幹線道路を往復する様子なども見ることができるでしょう。もしかすると、その動きから除雪車の種類を見分けられるかも知れません。

映像の隣に展示されている資料は、1939年から公益社団法人雪氷学会が年6回発行する学会誌『雪氷』のNo.41(2022)に掲載された「2021-2022年冬の札幌都市圏の大雪について(その3)」の記事です。映像では、この記事が扱っている期間の除雪車の位置情報を早回しで可視化しています。この記事では、昨シーズンの四度の「ドカ雪」は、気候変動によるものとは断定できないとされているものの、風向きに支配される札幌の「ドカ雪」は、気候変動の中でも起こり得るものとされています。

参考文献:北海道の雪氷 No.41(2022)P13~16
協力:札幌市雪対策室

雪堆積場タイムラプス(インタラクティブバージョン)

雪堆積場1
雪堆積場2
雪堆積場3
雪堆積場4

除雪によって、路肩に積み上げることのできなくなった雪は、ダンプトラックに積まれ、雪堆積場に運び込まれます。普段は立ち入ることのできない雪堆積場の作業の様子を、時間を操作しながら観察することのできる映像展示です。

高台から谷型の地形を埋めるように雪を落としていく福井地区雪堆積場を、2021年12月14日~2022年6月25日の194日間にわたり、1日24時間、3分間隔で撮影した画像は、約7万枚(*1)にのぼります。札幌市によって設置される全ての雪堆積場の計画搬入量の合計は、年間約1900万立方メートル(10t ダンプ約135万台分)に及びます。一見するとダイナミックな重機の動きに目が行きがちですが、安全かつ効率的に雪を堆積する作業は、システマティックなだけでなく、雪や地形の特性を知ったうえで緻密に計画され、洗練されたものでもあります。雪堆積場に流れる時間を早送りするもよし、時間を止めてじっくり1枚を観察するもよし。1日の作業の流れや、季節を超えた堆積量の大きな増減など、楽しみ方はさまざまです。

(*1)取得できた画像の総数。何らかの原因によって画像が取得できなかった場合もある。
協力:北陽・北海道ロード・佐野特定共同企業体

吹雪とレーザーによる風の可視化

レーザー視覚化1
レーザー視覚化2
レーザー視覚化3
レーザー視覚化4

毎年冬になると、「北海道の吹雪は、本州と比較にならないほど厳しい」といったSNSへの投稿や、道民の撮影した吹雪の画像が話題となります。吹雪の中でも、地表に積もった雪が風で舞い上がることで視界を遮るホワイトアウトは、気温の低い北海道において起こりやすく、注意が必要な現象のひとつです。自動車の運転中は特に注意が必要になる一方、自動車のヘッドライトに浮かび上がる雪の粒の動きは、まるで生き物のように複雑に変化して、時に魅力的な光景を見せてくれます。ホワイトアウトのような状況では、雪が視界を遮るため、雪の粒の一つ一つを目で追うことは不可能ですが、レーザー光線を面のように照射し、狭いエリアの雪の粒だけを照らし出すことで、ホワイトアウトの中の雪(風)の動き見ることができるのではないか。そんな思いつきによって、この実験を始めることになりました。この展示では、メンバーが夜中に吹雪を追い求めて車を走らせ、レーザーの向きや撮影方法を試行錯誤する様子をドキュメンタリー映像としてまとめると同時に、舞台演出などに用いるレーザー光線を用いて、吹雪をモチーフとした新たな映像表現の可能性を模索しています。北海道を大寒波が襲った今年1月25日を含め、4度の撮影がまとめられています。

SCARTSモールCで紹介しているS.I.D.E.プロジェクト(*1)が実現を目指す《IEIE》(*2)では、作品を構成する各要素にとって、「風」が大きな役割を果たします。北海道ならではの自然現象にあらためてフォーカスするこの実験は、Side Effects (副作用)をテーマに掲げて活動するS.I.D.Eが生み出した副産物のひとつです。

(*1) SIAFラボが、北海道大学 CoSTEPとSCARTSと共同で取り組む、新時代のR&D(研究開発)のためのプラットフォーム「S.I.D.E.」。2024年の札幌国際芸術祭(SIAF)2024に向けて、キュラトリアル・リサーチャーに明貫紘子、アーティステッィク・リサーチャーに中井悠を迎え、プロジェクト「Side Effects 2022-2024 」として活動しています。
(*2) 1970年半ばに音楽家のデーヴィッド・チュードアが発案し、芸術家の中谷芙二子やジャックリーヌ・マティス・モニエ、E.A.T.(Experiments in Art and Technology)らが取り組んだ、孤島を丸ごと楽器化する未完のコンサート計画《Island Eye Island Ear》の通称。

  • ディレクション:小町谷 圭、平川 紀道(SIAFラボ)
  • 撮影:小町谷 圭、平川 紀道、石田 勝也(SIAFラボ)
  • レーザー設計:小町谷 圭(SIAFラボ)
  • プログラミング:平川 紀道(SIAFラボ)
  • テクニカルサポート:岩田 拓朗(SCARTS)

Side Effects 2022–2024IEIE, Reflected: Phase2ロケーション・ハンティング

ロケーションハンティング展示風景1
ロケーションハンティング展示風景2
ロケーションハンティング展示風景3

「Side Effects 2022-2024」では半世紀前に音楽家のデーヴィッド・チュードアらによって構想された孤島を丸ごと楽器化する未完のコンサート計画《Island Eye Island Ear》(以下:IEIE)の今日的な実現可能性を北海道を舞台に探求しています。昨年夏に公開されたPhase 1では『IEIEクロニクル』と称して、IEIEに関わるさまざまな出来事のネットワークを時系列上に結びつける年代記を展示しました。続くPhase 2『ロケーション・ハンティング』では時間から空間に焦点を移し、実際にリサーチを行なった道内の鴎島(江差)、大黒島(室蘭)、弁天島(朱鞠内湖)の記録映像に加えて、その副産物として訪れた先々で出会った専門家や研究者のインタビューの文字起こしを、データ分析によって隠れた関係を可視化しながら、北海道の巨大な地図上に配置して展示します。

企画:中井 悠、明貫 紘子、S.I.D.E.(SIAFラボ、北海道大学 CoSTEP、SCARTS)

「ロケーション・ハンティング」という言葉は、おもに映画やテレビの制作において、求めるイメージに合う屋外の撮影場所を探すことを指す和製英語です。「場所を狩る」という独特の表現は、IEIEの実現に適した島を探し回った一年の活動にふさわしいことはもちろんですが、その過程で判明した意外な「罠」とも結びつきます。それはSIAFラボが筋金入りの釣り好き集団であり、ロケハンを表の目的、それぞれのロケーションで出会った専門家とのインタヴューを表の副産物として掲げながらも、じつは行く先々で寝る間も惜しんで魚を狩ることを楽しみにしていたことです。こうして「ロケーション・ハンティング」は「ハンティングのロケーション」に転じつづけ、目的と目的を達成する過程に付随する副産物(サイド・エフェクト)の区分はだんだん多層化して、曖昧になっていきます。とはいえ、魚が「側線」という側面の感覚器官で獲物の微細な動きを感知するように、狩りとは単に目的に向かって焦点を絞るだけではなく、フォーカスの端(サイド)の感覚を研ぎ澄ます営みでもあるでしょう。そして罠とは、狩人ないし釣り人が目的とする獲物に仮の目的——擬似餌——を与え、それに焦点を絞らせることでできた盲点をつく仕掛けだと言えます。その意味で、まだ見つからない島の探求とその副産物たるインタヴューに劣らず、水面下に隠れる魚を釣ることもまた「サイド・プロジェクト」であるのかもしれません。

中井 悠(アーティスティック・リサーチャー)

展示構成について

床に広がる地図上には、リサーチで訪れた島の情報の他に、リサーチを通して出会った人物のインタビューが並んでいます。ハイライトされた幾つかのキーワードに注目すると、一読しただけでは気づくことのなかった相似や、意外な関係が見えてきます。また、プロジェクトでリサーチを続けている数種類の指向性スピーカーから、インタビューの音声がサウンドビームとなって地図上を飛び交い、その収録地点を指し示します。分離された文字と音声は、地図上で空間的に結節点を持ち得るだけでなく、私たちの「目」と「耳」から脳に入力されることで、より多層的かつ偶発的な意味を生み出します。《Island Eye Island Ear》の北海道での実現を探るリサーチから生まれた副産物が、さらなる副産物を生み出します。

ロケーションハンティング展示床面
インタビュイー
宮井 和美(モエレ沼公園 学芸員)
中村 誠宏(北海道大学教授、苫小牧研究林林長)
高橋 廣行(北海道大学南管理部技術室 室長・苫小牧研究林 森林保全技術班長(兼)・技術専門職員)
吉川 幸伸(有限会社トライステート代表)
池田 貴子(北海道大学特任講師 専門:動物生態学)
藤澤 正裕(ハンター)
古澤 正三(北海道大学特任講師)
松王 政浩(北海道大学 理学部 教授 専門:科学哲学)
インタビュアー
中井 悠 (Side Effects 2022-2024 / アーティスティック・リサーチャー)
明貫 紘子(Side Effects 2022-2024 / キュラトリアル・リサーチャー)
小町谷 圭(SIAFラボ)
石田 勝也(SIAFラボ)
船戸 大輔(SIAFラボ)
平川 紀道(SIAFラボ)
漆 崇博 (SIAFマネージャー)
奥本 素子(CoSTEP)
朴 炫貞 (CoSTEP)

協力:北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター、公益財団法人札幌市公園緑化協会、室蘭市

  • ディレクション:小町谷 圭(SIAFラボ)、中井 悠、明貫 紘子
  • 音響プログラミング:小町谷 圭、石田 勝也(SIAFラボ)
  • 床面グラフィック(プログラミング):平川 紀道(SIAFラボ)
  • 映像撮影・編集:仲本 拡史
  • 映像撮影:日下 貴詞(SIAFラボ)
  • デザイン:山森 晋平
  • スピーカー組み立て:船戸 大輔(SIAFラボ)
  • スピーカーマウント設計:岩田 拓朗(SCARTS)
  • 機材協力: 立命館大学 情報理工学部 音情報処理研究室、TOA株式会社

S.I.D.E.
Side Effects 2022-2024

雪国のスタートアップ

北国に新たな時間を創り出す/GONOW by ZEROSPEC

スタートアップ展示風景
IoTセンサー
データ視覚化

NoMaps(*1)の協力のもと、札幌の企業による雪国ならではのR&D(Research & Development/研究開発)にもとづくサービスとして、ゼロスペック株式会社のサービス「GoNOW」を紹介します。

日本最北の政令指定都市である札幌は、5メートル近い年間降雪量(*2)のある世界的に見ても珍しい多雪大都市です。200万人近い人々が暮らすこの都市において、「雪」は大切な観光資源である一方、積雪のない地域では問題にならないようなことを、日常生活の大きな負担に変えてしまう厄介な存在でもあります。

札幌の冬を下支えする灯油配送業者にとって、冬季の灯油配送は、「雪」によって負担が増大する業務のひとつです。各家庭や施設の灯油タンクへの給油は、積雪がなければ大きな負担となることはありませんが、ひとたび大雪が降れば、市内各所で発生する渋滞を乗り越え、灯油タンクや給油口を除雪して給油して回る作業は、従事者にとって大きな負担となります。私たちにとって灯油の残量は文字通り死活問題であり、場合によっては命に関わるものであることも、この問題の切実さのひとつです。

「GoNOW」は、ゼロスペック株式会社の配送効率化のサービスで灯油配送などにも活用されています。北海道大学との共同研究の成果もいくつかの機能に活用されており大きく下記のような課題解決を中心としたものです。

  • 専用のIoTセンサー(*3)による灯油残量の自動計測
  • 過去の配送記録から学習したAIによる灯油残量の予測と配送計画の自動生成・提案
  • 適切な配送ルートの自動生成
  • 業務報告などのデジタル化とモバイル連携

これらは、IoT、人工知能や計算機科学の計算手法といったさまざまなテクノロジーが、札幌という都市において「雪」という自然現象と交わることで生まれたものです。そこに交点を見出し、地域で育まれた視点と、それをR&Dによって実現した技術力は、まさに札幌ならではのクリエイティビティと呼ぶにふさわしいものだと言えるでしょう。

ここでは、中谷宇吉郎(*4)の、雪国の生活において否応無く割かれていく時間についての考察からスタートし、現代のテクノロジーによってそれを克服するR&Dとして、「GoNOW」を紹介します。

(*1) 札幌・北海道から、テック・エンタメ・クリエイティブで世界をもっと⾯⽩くしよう、より良く変えていこうという志を持つ人たちが集い交わるベースキャンプ、それが“NoMaps”です。NoMapsは、札幌・北海道から新しい価値を⽣み出すための⼤きな枠組み。新しい技術やアイデアによって次の社会・未来を創ろうとする人たちのベースキャンプであり、また、新しい体験価値を提供する数多くのコンテンツを街中で同時多発的に展開し、多くの人たちに向け、未来に向かっていくワクワクを体感してもらう複合型フェスティバルです。
(*2) 札幌管区気象台の観測値の、1991年から2020年の30年平均値は、4メートル79センチ https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/yuki/kids/kids_seikatsu2.html
(*3) 身近な物に取り付けられ、パソコンではなく、無線通信でインターネットにつながって遠隔で監視が可能なセンサー
(*4) 中谷宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 - 1962年(昭和37年)4月11日) 日本の物理学者、随筆家。北海道大学理学部教授を北海道帝国大学時代から務め、世界で初となる人工雪の製作に成功。気象条件と雪の結晶が形成される過程の関係を解明した。

  • 企画協力:NoMaps実行委員会
  • 企業コーディネート:さのかずや(株式会社トーチ/NoMaps実行委員)

イントロダクション

展覧会の入口風景
各会場の紹介とSCARTSとSIAFラボの取り組みを紹介する壁面

展覧会の入口として、各会場の紹介やSCARTSとSIAFラボの取り組みについてを紹介。

インタビュー

インタビュー映像展示風景

企画・制作メンバーを中心とした関係者へのインタビュー映像を上映。
札幌の冬についての印象/SCARTSとSIAFラボの「冬のR&D(研究開発)」のこと/S.I.D.E.プロジェクトや関わり方/「雪国のスタートアップ」企画などをお話ししています。

  • ディレクション:岩田 拓朗(SCARTSテクニカルディレクター)、村川 龍司(SCARTSテクニカルスタッフ)
  • プログラミング:清水 康史(札幌市立大学大学院)
  • 撮影:山田 大揮(SCARTSテクニカルスタッフ)
  • 編集:平戸 理子(SCARTSテクニカルスタッフ)
ギャラリーツアー1
ギャラリーツアー2
ライブ1
ライブ2
ライブ3
ライブ4
ライブ5
ライブ6
ワークショップ1
ワークショップ2
ワークショップ3
ワークショップ4
ワークショップ5
ワークショップ6

企画協力

SIAFラボ

2015年の発足以降、札幌国際芸術祭のもとで、ジャンルの垣根を超えた多種多様な実験的プロジェクトを展開する、オープンなプラットフォーム。札幌ならではのクリエイティビティを模索する研究開発(R&D)、作品制作、展示や公演を行うアート・プロジェクト、人的ネットワークの構築を目指す人材発掘・育成を3本の柱とし、それらが有機的に結びつく多彩なプログラムを実施しています。札幌の特色である「都市と自然」の関係性を現代の多様な文脈で再考し、札幌ならではの文化・芸術の醸成を目指します。
https://siaflab.jp/

本展のSCARTSとの共同企画・制作を担うとともにS.I.D.E.プロジェクトを発案し、企画・運営を行う。

CoSTEP

北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンターに設置されている、科学技術コミュニケーション教育研究部門 CoSTEP(Communication in Science & Technology Education & Research Program; コーステップ)は、 科学技術コミュニケーションに取り組む、北海道大学の教育・実践・研究組織です。科学技術コミュニケーションの教育・研究・実践を、互いに有機的に関連づけつつ、学内外の機関と積極的に連携を進め、科学技術コミュニケーション活動を担う人材養成を行なっています。
https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/

本展のS.I.D.E.プロジェクトをSIAFラボと共に企画・運営を行う。また、SCARTSとはワークショップの共同企画を行う。

札幌文化芸術交流センター SCARTS

札幌文化芸術交流センター SCARTSは、2018年にオープンした札幌市中心部にあるアートセンターです。札幌文化芸術劇場 hitaru、札幌市図書・情報館と共に札幌市民交流プラザを構成し、札幌における文化芸術の拠点となっています。市民の創造性ある活動をサポートし、札幌の文化芸術を支え、育てていくために、 「あたらしい表現の可能性をひらく」「すべての人に開かれたアートとの出会いをつくる」「一人ひとりの創造性をささえる」という3つのミッションを定め、活動をしています。
https://www.sapporo-community-plaza.jp/scarts.php

企画協力

Nomaps

札幌・北海道から、テック・エンタメ・クリエイティブで世界をもっと⾯⽩くしよう、より良く変えていこうという志を持つ人たちが集い交わるベースキャンプ、それが“NoMaps”です。
NoMapsは、札幌・北海道から新しい価値を⽣み出すための⼤きな枠組み。
新しい技術やアイデアによって次の社会・未来を創ろうとする人たちのベースキャンプであり、また、新しい体験価値を提供する数多くのコンテンツを街中で同時多発的に展開し、多くの人たちに向け、未来に向かっていくワクワクを体感してもらう複合型フェスティバルです。

https://no-maps.jp/

本展では、「札幌の企業のR&D(研究開発)featuring Nomaps」と題し、北国ならではの研究開発を行う民間企業を紹介していただきました。
コーディネート:さのかずや(株式会社トーチ/NoMaps実行委員)

ゼロスペック株式会社

「データから未来に新たな価値を提供する」を理念に掲げている、2015年創業の札幌発のスタートアップです。 灯油残量検知IoTデバイスの「スマートオイルセンサー」と、灯油配送業者向けの自動発注&配送管理SaaSシステム「GoNOW」の開発・販売を中心とした事業を行っています。
https://www.zero-spec.com/

本展では、「札幌の企業のR&D(研究開発)featuring Nomaps」の「北国の時間を創り出す/GoNOW by ZEEROSPEC」として参加いただきました。

お問い合わせ

札幌文化芸術交流センター SCARTS
〒060-0001 札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ内
TEL:011-271-1955(9:00-17:00 ※休館日を除く)
E-MAIL:scarts@sapporo-caf.org

札幌市営地下鉄「大通」駅 30番出口から西二丁目地下歩道より直結
アクセス:https://www.sapporo-community-plaza.jp/access.html

主催
札幌文化芸術交流センター SCARTS(札幌市芸術文化財団)、札幌国際芸術祭実行委員会、札幌市、北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
協力
札幌市雪対策室、札幌市図書・情報館、NoMaps実行委員会、ゼロスペック株式会社
助成
令和4年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業