2016年5月21日に第1回SIAFラボ編集会議を行いました。
このプロジェクトは、私たちが暮らす札幌とは、どんなところなのか?を切り口に、札幌ならではの要素を収集、分析、編集、発信していく活動の一環として行われ、今後毎月1回のペースでミーティングを行なっていきます。
今回は第1回目ということでプロジェクトの目的や今後の流れについて、概要の説明を行いました。
このSIAFラボ編集局の発端は、SIAF2014のときに、学生やボランティアが中心の市民の視点から、SIAFやそれに関連する情報を発信するべく活動していたことが起源となっています。昨年度のSIAFラボの活動では”札幌らしさ”に焦点をあて「コラージュ・さっぽろ あなたの『札幌』、教えてください!」や「SAPPORO STUDY」など、まずは自分たちが札幌を知るための取り組みが行われました。そして3年目の活動にあたる今年度は、それらの取り組みで得た情報に加え、新たに収集していく情報をどのようにして扱っていくかといったことを考えていきます。
ゲストはSIAF2017のバンドメンバーであり、現在様々な形で札幌に関わっている佐藤直樹さん(アートディレクター)と坂口千秋さん(コーディネーター)のお二人を迎えて、「札幌ってどんなところ?」「札幌には何がある(人/もの/こと)」「どんなメディアに可能性があるか?」という3つの観点を中心にお話を伺いました。
佐藤さんは「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」で一般参加者も含めたデザインミーティングを定期的に行っており、この編集会議の開催直前にも、それに関連したまち歩きワークショップを狸小路・すすきの北エリアを中心に行っていました。
まち歩きワークショップの所感を踏まえて、札幌は人工的に整備された街並みでその地域ならではの特徴を感じられにくい気がする。しかし、建物と建物の間にある空間が面白かったり、そういった隙間を見つけていくことや、古いものをどのように保存、また守っていくかの工夫のされ方に可能性を感じると、数時間前に実際に見てきたものについてお話しされました。
坂口さんは、この冬にさっぽろ天神山アートスタジオに滞在していたドイツ人アーティストと共に1972年の札幌オリンピックについてリサーチしていたことに触れ、オリンピックのときに札幌の都市化が一気に進んだこと。しかし、それ以降更新されているものは実はあまり多くなく、中心市街にありながらも意外と開発されていない場所、一昔前のレトロな雰囲気を帯びている風景も実はいたるところにあるというお話しをされました。また、札幌は大きな都市というイメージはあるが、身の回りのものを改めて見てみるととても古いものが現役で使われていたりしているかもしれないといったご意見をいただきました。
そのほか、日本各地の面白いフリーペーパーを例に挙げながら、札幌以外の北海道各地との関係性や発信力(メディアや手法ではなく、個々人の意識)の問題についてなど外部から見た俯瞰的な特徴について話を伺いました。
後半では、参加者を4つのグループに分け、佐藤さんと坂口さんにもそれぞれ入っていただき、グループワークを行いました。その際、坂口さんからは、情報を発信する上でどんな人に知ってもらいたいかでメディアの形態や伝え方が変わってくるのでは?という提案があり、ゲストのお二人に伺った3つの項目に加え、どんな人に知ってもらいたいと思うかという項目を追加し、それぞれ意見を出し合いました。
どのグループも白熱した様子で、最後にグループ毎にまとめた意見を発表し合い、情報を共有しました。グループによっては、道外や海外に住んでいた方が多かったり、札幌市外に住んでいる方が多かったり、デザイナーやライターの仕事をしている方が多かったりと、非常にバラエティに富んだ意見が出されました。
○札幌ってどんなところ?
・札幌に生活していると札幌の変化に気付きにくいため、外からの視点の取り入れるような仕組みがあればよい。(姉妹都市との比較など)
・札幌は新しい人、物を受け入れる。日本の中で歴史が浅いので、クールでドライな印象だが、今まさにそれを作っている最中だと捉えることができる。
・観光の場合は、札幌は通過点である場合が多い。
・札幌はものを生み出す、というよりも、二次利用や流通が盛ん。
・外国のような要素を持っている。人がフレンドリー、おおらか、過ごしやすい。
・北海道のハブ的な立ち位置。
・アイヌの人たちなど過去の歴史を尊重しながら新しいことに挑戦しようとする。
○札幌には何がある(人/もの/こと)?
・札幌独自のものと、札幌にはないけど他(札幌をのぞく道内)にはあるものがある。
・意外と閉鎖的で、深く他人と関わることがない。
・札幌の人も北海道を知らない。札幌以外の地域の魅力を伝えられる人がいない。
・札幌以外の地域の魅力を伝えたいが、取材費がないのでまずそこに友達を探し、友達から情報を発信してもらう。
・子供たちに想像力を育んでもらうことで今後所得があがる。
・山が見え、比較的平地が多く自転車ユーザーにはありがたい。あえて坂を作ってみても面白いかも。
・最初はいいが年々雪かきが大変になる。
・札幌の人は遠慮がちなところがある。そこを引き出せば世界に目指せるものがあるのではないか。
○どんなメディアに可能性があるか?
・情報に偏りが生まれてしまうが、対象の年代によって伝達媒体を変えていことが必要なのではないか。
・楽しいことをやっているところに人は興味を持つので、まずそこに住んでいる人、つまり札幌市民が一番大事。
・楽しさを口コミでどこまで伝搬できるか。
・札幌以外の北海道の街にも知られていない面白さがあるので、まずは自分たちの足元から地道にちょっとずつ広げていくことで、老若男女を問わず寛容性を持つメディアにできるかが決まるのではないか。
・「東京と札幌」のように「東京と地方」という関係性を脱し、対東京から、対世界へという考え方を持ってもよい。
○どんな人にどんな方法で伝えるか?
・芸術祭を知らない人、北海道に来たことがない人に伝えたい。ただし、啓蒙的な上からの伝達ではなく。
・土着のものではなく何か札幌で楽しいことを選択するだけでもそれが一つの発信となりうるのではないか。
・身近にいる人、札幌に住んでいる人に関心を持ってもらいたい。
・観光スポットや食などを目的に来道してくる人たちがいるが、ポイントは2回目、3回目の人へどういった場所を教えたり、案内したいか。それを真面目に考えていくと何かの気付きになるのではないか。
・まずは、身近な人、顔が見えて近しい人に知ってほしい。市街のゲストが来た時にお迎えする準備として札幌についての勉強をしよう。
などなど、様々な意見やアイデアが挙げられました。
次回の編集会議では、これらの出されたアイデアをもとにして話し合いを重ねていき、何かを調べたり、写真を撮ったり文章を書いたりと具体的な作業分担と新しいメディアの開発にもつなげていきたいと考えています。
次回は6月25日(土)の15時~17時に行ないます。ご興味のある方はぜひご参加ください。