札幌の中心部から国道453号を40キロほど南下すると、4万年以上前の火山活動で形作られたカルデラ湖、支笏湖が姿を現します。道内の摩周湖や倶多楽湖に並んで国内屈指の透明度を誇る支笏湖は、日本最北の不凍湖としても知られており、凍結しない一因となっているのは、国内第2位である360メートルという大水深です。琵琶湖の8分の1に満たない面積でありながら、貯水量は琵琶湖の80パーセントにも及ぶことからも、その深さをうかがうことができます。
支笏湖を舞台に展開されるこのプロジェクトは、成層圏気球の打ち上げや極寒環境下でのR&Dを継続してきたSIAFラボが、水深200メートルを超える深水域で使用可能なデータロガーと沈下システムの開発、そこから得られたデータや知見をベースに、深海を含めたあらゆる大深度水域で想定可能な深水域芸術の可能性を模索するプロジェクトです。人類のいない世界の実在論が論じられ、ウイルス(人間でない者)によって引き起されたパンデミックの終息が見えない今、地球上でありながら、生身の人間が到達できない極限環境にDIYで挑み、そこでも可能な芸術/そこでしか不可能な芸術を考えることは、現代の芸術の意味を再考することにもつながるでしょう。
一般的に水深200メートルを超える海域は深海と呼ばれ、日本の沿岸からその海域へ到達するには何キロメートルも沖に出なければならない場合がほとんどです。場合によっては手漕ぎボートで水深360メートルを超える水域にアプローチするこのプロジェクトは、比較的短時間で支笏湖という魅力的な大深度水域にアクセス可能な札幌の地の利を活かしたプロジェクトです。
特設サイト:https://deepwater.siaflab.jp/
活動の記録
2021年7月10日
https://youtu.be/oKot-Scw8_U
2021年8月24日
https://youtu.be/2BYP4Z2kvwg
2021年9月28日
https://youtu.be/MJyc8ct-pxg